母の家に弟一家が同居する様になったけれど、家は神奈川だったので長く都内の病院に入院していた母の付き添いは私がやっていていました。
母は自分が死んだ後、葬式やお墓やとお世話になるので、弟達が気分を損ねる事が心配で遺言書を書きませんでした。
それでも付き添いをしている私を気の毒に思って、財産目録を私に託していました。
ただ同居の段階でもう弟一家は(これも当時の意識ではありがちかもしれませんが)母の財産も自分達の財産も一緒になったようなイメージもあったのか、結婚して名前が変わった人間は関係ないというイメージだったのか、遺産分割の話し合いには消極的でした。
母の友人で弁護士になった方が、「仕事としては受けないけど(費用が高いから)私の事務所の場所を貸すから話し合いをなさいよ」と言って声をかけてくださって、やっと話し合いができました。
(話し合いの仲介をそれまで親戚などに頼んでも「揉め事に巻き込まれると嫌だ」と相手にされませんでした。)
母名義や母と弟の共同名義の不動産は全て放棄して預金や株式や有価証券のみ分けて貰いました。
なまじ全部の財産を知っているので、開示の不完全さにストレスがありましたが、母のメモをもとに「通帳の現物を持って来て入出金の経過を見せて」とまで強く言うのは兄弟としてちょっと躊躇があり、話し合いもその日だけで終わらせたかったのでそのまま受け入れました。
母が弟にした生前贈与についても母から聞いていたのですが、「そんな事実はない」と否定されれば更に事を荒だてて話し合いができなくなるのが嫌で、それ以上追及しませんでした。
教訓、相続人に気兼ねして遺言書を書きたくない時でも、全ての相続人に公平に財産目録を渡して、そしてその事を全ての相続人に知らせておく(生前贈与や寄与分も含めて)のが良いと思います。
完全に情報を共有していれば話し合いがスムーズになると思いました
ちょっと変な事も起きました。しばしばシステム障害を起こす事で知られたm銀行です。
他の銀行や証券会社などは(二等分した相続財産の)1円単位の端数をどちらかの口座に入金するかまで文書化して確認しましたが、m銀行は二人で分ける旨の遺産分割協議書を提出して、さらに私も銀行に同行しているのにもかかわらず、全額を窓口で話した弟の口座に振り込みました。
かなり後にその事を知って抗議しましたが、銀行は対応してくれませんでした。このように思いがけない事も起こるので、気が抜けないなと思いました。
教訓、遺言執行者まで選んでおけば万全でしょうが、そこまでしなくても、費用はかかるけれど第三者を交えて遺産分割協議などをした方が後に禍根を残しにくいと思います。
「本家」とかそう言った方々もいざというとあてにならなかったり、公平でなかったりしますから。
更に言うと母は容態が悪くなってからお嫁さんの負担をかけたくないと老人ホームに入ったのですが、入ってわりとすぐに亡くなってしまいましたので割と大きな額の返金がありました。
そういった事もありますので財産の把握はなかなか大変です。