40代、50代、60代で、遺言の(下)準備をした方が良い理由

(1)デジタル資産がある事が多い

 昔は故人宛の郵便物や通帳の記録、株券などから色々な契約を推測して問い合わせもできましたが、現在のようなパソコンの中にある、ネット証券の取引、仮想通貨、通帳のない銀行口座 貯めたポイント等は 本人以外が見つける事は困難です。
ネット上で契約して、定期的に引き落とされている料金なども解約しなければなりません。
また友人や取引先の連絡先もパソコンの中にだけ残されている場合には残された家族がそれを見つけるのは難しいです。個人で仕事をされている場合なども、その情報がパソコンに残っていることが多いです

 

(2)比較的若くして亡くなった方の場合、配偶者や子供が若いことが多いです。(子供がまだ未成年のケースもあります)

また、子供がいないケースでは、配偶者が亡くなった方の親や兄弟などと遺産分割協議をすることになる場合があり、相続の手続きが煩雑になることがあります。

 子供が未成年のときには、遺産分割協議にあたり、その子の特別代理人を選任してもらう必要がある事があります。又、子供がいない時には、残された妻が住んでいる自宅をめぐって夫の兄弟と相続のための協議をしなくてはならなくなるようなケースも起こりえます。
こういったことにならないよう、遺言書を作成したり、さらに遺言執行人を決めておくと後の負担が軽くなります。

 

(3)遺言について下準備したり、「相続関係証明情報」のために、自分の親族について調べることにより、今まで話題にしづらかった、親世代との話し合いのきっかけにすることができるかもしれません。

エンディングノートと言うものがあります。手に取ったことのある人は多いけれども、実際に全部書く人は少ないと言われています。
エンディングノートにもいろいろな種類のものがあります。あまりに様々な記入項目があって、書くのが億劫になったり、そこまで自分の事を詳しく書くことに抵抗を感じたりするかもしれません。
成年後見制度というものがあります。
そのうちの「任意後見契約」を結ぶときには、判断能力のある元気なときに、将来の自分の代わりにいろいろな意思表示をしておくのです。
どこで介護されたいか、どのような医療を望むか、誰に看取ってもらいたいか、お葬式は誰に来てもらいたいかなどなど。これと同じように、エンディングノートは、あなたが将来意思表示がしにくくなった時に、好きな食べ物を伝えたり、希望に近い暮らしかたができるように助けてくれるあなた自身の分身です。
想像を巡らせて、「私はアレルギーがあるから青魚は食べない、週に二回はワインを飲みたい」とか「延命治療は嫌だが痛いのは嫌だ』「歌手の○○が好きだからたまには曲を聞かせてほしい」などと書いて、将来の自分の生活ををさらに幸せなものにしましょう。
そしてそういった作業をするうちに、親世代の気持ちも聞いてみたくなるかもしれません。思いもかけない趣味や得意なことや好きな場所などが聞けるかもしれません。
白洲次郎ごっこをして「葬式も戒名もいらない、遺骨はその辺に撒いてくれ」などと格好つける人もいますが、残された人々にとって大きな負担になる事があります。(戒名はともかくとしても)もっと誠実に具体的な話をしておくのがよろしいでしょう。

ちょっと一言

検認とは

公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所での検認手続きが必要です。(封印されていない遺言でも同様です。)

 相続人に対し、遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、解除、訂正の状態、日付、書面等県民の日、現在における遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造、変造を防止する手続きです。

遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出しなければなりません。また、封印された遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立ち会いの上開封しなければならないことになっています。

 預金 有価証券 不動産などの名義変更手続きを行う場合、銀行や法務局からは「検認済証明書付きの遺言書 (公正証書、遺言を除く)」の提出を求められます  

自筆証書遺言書保管制度を利用すると、この検認が不要です

自筆遺言 公正証書遺言

お墓のこと

先祖代々の菩提寺や宗派などについても、若いうちはよく知らない場合もあります。

 又お墓を守っていく承継者がいなくなったり承継者が遠くに住んでいてお墓の管理がままならない場合などもあります。

その場合、お墓のお引っ越し(改葬)もありますが、現在お世話になっている寺や霊園の管理者に相談して永代供養墓に改葬する方法もあります。

遺言執行者

、遺言書の除籍謄本、遺言執行人の印鑑証明書

相続人全員の戸籍謄本所属全員全員の印鑑証明書

遺言に指定がない時でも、必要があれば、家庭裁判所に申し立て、執行者潜入してもらうことができます

自筆証書遺言書保管制度とは

公的機関である法務局が遺言保管所として、遺言書の申請に基づき、遺言書を保管する制度です。

遺言書の紛失等の恐れがありませんし、利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざんなどを防ぐことができます。

相続開始後、家庭裁判所における検認は不要です。

これにより死後、相続人等が遺言書が保管されているかを確認したり(遺言書保管事実証明書の請求)保管されている遺言書の内容を確認したり(遺言書情報証明書の請求)をすることができます。

法定相続情報証明制度

平成29年5月29日から登記所(法務局)に戸籍除籍謄本等と相続関係を一覧にして表した図(法定相続情報一覧図)を提出して認証をうければ、不動産相続登記、金融機関における預貯金の解約払い戻し、自動車の名義変更、相続税の申告等に利用でき、申告の都度全員の戸籍謄本等を持参する手間が省けます。

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